結婚のメリット Ⅰ 身代わりの結婚
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結婚のメリット Ⅰ 身代わりの結婚

レニー・ローゼル/天野なすの

使われている言葉の言い回しが素敵だ

2020年1月15日
ヒロイン父のチェス・オコナー氏のキャラ!11分30秒前だ、とか、大抵気に入らないけれど、そこは珍しく気に入ったとか、こだわりの人。49頁も笑える。

彼のお父様もその威圧感とアクの強さに驚かされた。ゲーム投了後に左によけるとか、端折られた描写でもその強烈さ伝わる。まさにあとがきで天野先生が言及しておられる通り、二人の親父サン達の造形如何で物語の面白さは左右される。
ヒロインの描いた背中が、成程味があった。
あとがきで天野先生が書かれている様に、二人の人物造形は特筆もの。

確かに大変個性的な絵で、少しゴツゴツしている感じがするのだが、言葉選択が素晴らしくて眼はそっちにいってしまった。絵で私が気になるのは弟との描き分け。ハンサム設定でも、似ている兄弟でも、主役との区別は要る。また、人物以外のあらゆる描写が手が込んでおり、表現力豊か。家も外も景色も、海のきらめきも。コマの割り方が工夫されて。
87頁中程小コマの絵は何だろうか。

1a年振りに醒めた彼の行動力は目覚ましい。そして、あれこれ考えて性急にならず、ヒロインの心優先なのがいい。初夜を巡る申し出も二人の関係を大事に育てたい気持ちの現れ。だが二人の熱の読み違え。
それでも、ヒロインのあれはないなと思う。
一方、価値6万ドル超のエメラルドを彼そこにに投じるのか??、連絡船のところ乗船に?その考え方も驚きだ。

忍耐力、知力彼は申し分ない。しかし、内面で思案を巡らせていて、行動は冷静、相手に自信を持たせるところはアピール度合いが低かった。彼自身、亡き婚約者に向けたものとヒロインに対するそれと相違あるとは把握しており、当初は繋ぎ止めておきたいとの執着から事故への恐怖へ、そして失いたくない強い動機へ。

長年の片想いが実っても愛不在に悩むなど、私の目には欲張りに映る。私なら結婚する気になったくれたら心願成就気分。

挙式迄の短い日取りでも内容が超立派。ティアラの圧巻の存在感が証明。
サムシング4はHQ数百既読した中で初めて見た。花嫁の幸福への祈りが伝わる。花嫁姿ほか挙式シーンもお見事。
それなのに、挙式後の二人がそうなる?

話をそう作って来たのは、追いかけてラストの舞台をストーリー中最も比率を掛けたドラマ仕立の為。
欧米人はよく公衆の場でああいう求愛や求婚を、大勢に立ち会って貰う。HQのそのバタ臭さが随所に現れた作品なのだと思う。
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