海賊富豪と愛の妖精
」のレビュー

海賊富豪と愛の妖精

ジェシカ・ギルモア/秋元奈美

ただ一緒にいたいと思ったならそれが愛よ

ネタバレ
2020年2月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ ゴシップ紙の常連でプレイボーイのお墨付きをいただいている伯爵家の跡取りヒーローレオは、その顔を自ら作り上げ 真実の顔を隠して生きてきた。それは父親への当てつけという子供じみた策ではあるけれど、根底には寂しさや悲しさ、そして愛情深い優しさの溢れた 強者だった背景には、ヒロインアンナだけでなく私も心惹かれた。読み進めるごとに惹かれあう2人の行動には、トキメキもそして自己啓発のそれにも当てはまり、そろそろ本来の自分で生きていこうという姿勢がとてもよく伝わった。父親を反面教師といしているレオとは違い、アンナは父親を敬愛し、追い詰められた末の自分の道として研究家にはなったけれど、そもそもは仲の良い家族という形態に憧れる一人の女性だった。その事は、本土には近いが交通手段が船だけという島での暮らしを、子供時代と現在の状態が、まるで彼女の姿そのものの 今昔を表しているかのようだ。島を新たに美しく復活させること = 彼女自信が変わることと展開されていて良い作りで感動ものだ。また、レオも妹という存在に 助けられそして助けるという、ここにも愛情あふれる本来の家族を 皮肉だけれど直系の家族でないところに見出し作り上げている様が、私の心を和ませてくれた。そして、作り上げた顔に隠れた 忘れていた自分のそれを見つけ出した経緯を話す アンナとの会話(やりとり)は、短いがとても的を射ていて 大いに私を納得させてくれてハピエンを堪能した。ページ数の関係上長い説明文になりがちな部分が、そうなっていない事にも 物語に関係のないところでホッとさせてくれたのだった。
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!