矢神くんは、今日もイジワル。
」のレビュー

矢神くんは、今日もイジワル。

藍川さき

勘違い

ネタバレ
2020年2月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 主人公は女の子だけど、藍川さんは男の子目線も描きますよね。
例えばなぜ女嫌いになったのかとかもきちんと描きます。藍川さんの「僕から君が消えない」の作品に似てます。できる兄へのコンプレックスに対しこちらは双子の葛藤。

藍川さんの描く男の子はいつも一途。一途です・・・がこれは一途を堪能するものではなく勘違いからのすれ違いを楽しむように描かれています。
図書室で泣いてる雫を環がなぐさめる様子だけをみて、楓が雫は環を好きだと勘違い。楓の女嫌いの原因、澪の一件ですら子どもの頃「環くんが好き」と言った瞬間を楓が聞いて勘違い。弟が楓は双子だと知らず、環が女の子といるところをみて楓が浮気していると勘違い。雫が、仁科をかばって「大事な人」だと話すところだけをみて楓がもう遅いと勘違い。友人に雫とよりを戻す気はないと話している瞬間を雫が聞いて勘違い。
勘違いのオンパレードですね。
これは30年以上前に実際にあった話ですが、私の知人同士が渋谷ハチ公で待ち合わせ、一人はハチ公前で、もう一人はハチ公後ろで待っていて何時間も会えなかったという笑い話があります。

でも実際はね、そんな勘違いすれ違いってそう何度も起こらないと思います。なので勘違いがでてくるたびに嘘っぽい作り話だと誇張しているような気もしてきます。まあ、これはこれでありなんでしょうね。
楓が雫にラブで崩壊になる様子や2人のラブラブっぷりがもう少し見たかったかな。双子の男の子と主人公といえば、大体主人公のとりあいになるところがそれは3巻まで。そこから先は弟の友達がその役どころ。楓と雫はハッピーで終わったけど、環は?環について言えば好きな人もいないまま弟を見守る弟想いのポジションを貫きましたね。
環と楓はいい人に、澪は悪役に、仁科はかわいそうなふられ役に描かれています。双子っていうだけで設定はいくらでもあるでしょうけど、例えば本当に比べられるのが嫌だったら別々の高校へ進学もあっただろうし、澪もずっと毎年環に会っていて友人に環が彼氏と嘘までついていたのに、コロっと楓に気持ちが変わるもの?幼なじみなら「双子だけど、2人は全然違うよ!2人のことがよく分かる」っていう雫のポジションにいてもおかしくないはずなのでは?そこは小学生だったからスルーかな?
個人的には弟がイケメンって最初にでてきた時から実は義兄弟って思ってたのに、最後まで大はずれでした笑
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!