愛を忘れた理由
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愛を忘れた理由

ルーシー・ゴードン/もりひのと

信じるのに証拠はいらない

2020年3月1日
12歳のヒロインペトラが10歳以上離れた大人ヒーローアレッサンドロスと渡り合うなんてこと物語としてでも珍しいと思った。事が事だけに、誰にも心中を吐露し胸の奥につかえているものを解消できない鬱積が、アレッサンドロの人格を歪めるのに説得力はあるが、あの時の子供がその対象として相応しく作られている事には現実感が持てずに苦慮した。それでも、再会の時には彼の態度にあるように「彼女も普通の女に変わっただろう」ことを確かめる件は、その通りと納得できる。ずっと心に闇を持ち続ける彼の「救われたい」感情は、亡き妻の酷い状況と惨状を知り 吐き気がする程理解できるので 何歳であろうとそれに該当できる対象を見つけたなら迷わず突き進むのもモットモなのだけれど、随分アッサリと進んだなと驚いた。驚くべきはもう一つ、ニカトールの憎しみの増幅が私には謎。業界1,2位を争う一族の跡取りとして 年齢も近いからその立場は理解できても 自分の能力を計れない時点で彼は終わっているのだ。だから、あと1歩踏み込んだ説明が欲しかった。
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