抜け落ちた愛の記憶
」のレビュー

抜け落ちた愛の記憶

ダフネ・クレア/もりひのと

オカルトファンタジーかと思ったら

ネタバレ
2020年3月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 記憶喪失モノなのだけれど、少々詰め(爪)が甘い(笑)カプリのように自分磨きしている女性は、料理や掃除をしなかったという事実を鑑みても ネイルに磨きと装飾を忘れていないはず。いくら大事故の濁流にのみ込まれても なにも無かったような状態にはならない。冒頭から「私が流されていく」というのは臨死体験と呼ばれているものなのかと興味を持った。記憶を失っている妻とする女性(ヒロイン)がヒーローロルフには好印象を持って「やり直す」きっかけになったのは言うまでもない。だが、本筋とは違い 私には一つの可能性を頭で追っていた。記憶喪失中性格が以前とは違うように見える作品が多い中(この物語もそう作られている)、心中に暗闇を持っているカプリが助かっていたならば、何のシガラミも無い中で誰かを慮る必要性を知ることもなく己が出せるならば、彼女も変われたかもしれないが、事故によってそのチャンスを奪われたのだと思うと居たたまれないというものだ。ヒロインにしてみても、成り代わったカプリの周辺をその身に受けての葛藤は、沸き起こる感情と感覚からはまるで別世界であっても、受け入れようと必死なのが伝わり気の毒でならない。しかし、ネタバレしているからその感情もそれ程ではないのが口惜しい。もっとのめり込んで楽しみたかった。
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