灼熱のアルハンブラ
」のレビュー

灼熱のアルハンブラ

ペニー・ジョーダン/宮城朗子

人の恋路を邪魔する奴は豆腐の角に・・・。

ネタバレ
2020年3月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 会えなかった実父に拘るヒロインフェリシティの気持ちは分かります。シングルマザーとして自分に寄り添い育ててくれた心優しき母を想えば当然の事でしょうけれど、23歳になってもそこに拘り続けていたのは 実はヒーロービダルへの恋慕のすり替えだと気付かないわけはないのにという思いがエンディングまで続き、口を開けば皮肉と嫌味ばかりで、ウンザリな物語でした。少なくとも、弁護士から遺産についての説明を受けた段階で、状況を客観的にみるという機会があったのに、感情が先立ってそれを疎かにする彼女に同情も共感も出来ませんでした。何かしら場所が変わるたびに、ビダルが子供の頃にした悪意の無い告げ口を責め 彼も苛立ちしか見せない。ビダルも、彼女の若き日の濡れ場の目撃を理由に嫉妬が沸き上がり、まるで不貞を働いた妻を責めるような態度には、狭量以外に思い当たる言葉が浮かばず、トキメキも何も感じない。2人の関係の事後、事の真相を聞く勇気もないとは見下げた男。けれど、自分の行動を悔やみ支援を続けていたのには 贖罪とはいえ愛情の深さを知るところです。それでも、最後までフェリシティの両親の悲恋に夢見すぎなきがして、ついていけませんでした。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!