モブサイコ100
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モブサイコ100

ONE

主人公モブの成長を丁寧に描いた傑作

ネタバレ
2020年3月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 強力な超能力を持つ中学生の少年モブが主人公、ただし彼は日常で一切超能力を使わない。
普段は勉強もスポーツもできない不器用で目立たない少年で過ごす。
悩める彼の相談相手で頼れる師匠が、インチキ霊媒師の青年、霊幻新隆、この2人が様々な超常現象や事件に挑む。
この漫画で特徴的なのは、超能力を使えば万能な主人公があくまで、地味で不器用な素の自分を受け入れ成長しようとすることだ。
空気を読めず上手く笑えず、好きな女の子に振り向いてもらえず、運動部に入れば虚弱で1日でバテてしまう。
しかし彼は自身に葛藤しつつも、全巻通して一切逃げず、自分や他者に向き合おうとする。
モブのメンター的存在の霊幻師匠、程良いズルさと世間智のある若者で、モブの真面目だけどやや固い視点に風穴を開けてくれる。
この青年はモブと同じく作者の分身で、モブと表裏一体のもう一人の主人公だ。
大人のフリをしてても、弱さを抱え自信の無い普通の青年であり、てらいの無い素の姿で誠実に、超能力を持て余し苦しむモブと向き合おうとする。
ラストは片思いの少女とのエピソードより、霊幻とモブの対峙がこの物語の要なのだろう。
思春期の少年の心と真摯に向き合い、本当の成長を見守り描ききった傑作だと思う。
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