愛の革命【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】
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愛の革命【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】

ポーラ・マーシャル/正岡桂子

こういうヒーローを待ってた

ネタバレ
2020年4月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ ポーラ・マーシャルの作品はいくつか読んだが、この作品が今現在では作者の集大成かつ最高傑作だと思うぐらい、最初から最後まで面白く読み終えた。
社交界で出会い、一目惚れしあったヒーローとヒロイン。
ヒロインの家に勤めるメイドが失踪し、その恋人がヒーローの家の使用人だったことから、二人もメイド失踪事件とその裏で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
ヒーローは、自堕落に生きて商売女のそばで死んだような父親を恥じ、父のようにはなるまいと、母の教育も一助となって、勤勉で実直を絵に描いたような男に育つ。女性と付き合ったことはあるが女遊びなどはせず、自堕落な生活とは縁遠い世界を生きてきた。
この時点で私的には十分好感度の高いヒーローなのだが、このヒーローの素晴らしいところは、作中でヒロインと出会い、事件に巻き込まれていく中で、肩書きだけではない、真の意味でたくましくも頼れるヒーローへと変身していくところにある。
自制し続けた生活から外れたことをやっても、ヒーローの根本は変わらないところもまたよく、作中で前にも増してよりよく成長していくヒーローというのはたまらない魅力があった。
そんなヒーローと惹かれ合うヒロインは、17歳の時に60歳離れた今は亡き公爵に金で売られた女性。亡き夫によって知識と知恵を叩き込まれ、革新的な考えを持ちつつも、いっぽうで弁えるべき常識も持ち合わせている、活発的な美女。
亡き夫に支配されていた(親代わりだったせいでもあるが)ために、ヒーローの心配からの忠告を自分を支配するつもりかとはねつけるきかん気なところもあったが、危険な目に遭って、ヒーローを本当の意味で受け入れられるようになる。
正直言えば、出会ってすぐお互いに一目惚れしあい、会うたびに相手への気持ちが高まっていたにもかかわらず、なかなか進展しない二人に途中かなりモダモダさせられた。
ようやく結婚が決まっても、結婚までは自制しようというヒーローの真面目さ、嫌いじゃないが、結婚式後まであったら、もっとラブラブな二人が見れたかなと思うとそこまで描かれなかったのが残念でもある。
が、この終わりも悪くないと思える、久しぶりに大満足の作品だった。
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