ここはグリーン・ウッド
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ここはグリーン・ウッド

那州雪絵

寮生活のあれやこれや男子校高校生活群像物

2020年4月19日
主人公蓮川一也は、ただただ同じ寮の仲間達からの巻き込まれ型の事件と騒動と校内行事、そして寮の恒例(?)やしきたりによって、少しも落ち着かない日々を送る羽目に。彼が入寮しているのは、通称グリーン・ウッド。
読み切り連載的な構造で、私は本誌掲載当時1、2回読んだのみだったが、楽しく賑やか、明るい雰囲気が気に入って、連続ものでないだけ飛び込みで読んでもスッキリ面白かった事をよく覚えている。

まとめて読んだことがなかったから、今読もうと思った。3巻読んだところで、一旦レビューを書くことにする。それまでも、謎や家庭事情も入り込んでバラエティ豊かなストーリーだったが、3巻に来て、重要人物ながら伏せられていた手塚のターンで彼のブラックぶりが、2巻以前の雰囲気とは異なり、それはそれで楽しんだから。
2巻にも車へかき傷というのがあったが、そうはいってもゆるゆる柔らかい感じで来ていたところへ、策士の顔を思いきり出す回は、メリハリついた。
ヤナ奴という役どころがなかなか板についていて、目先が変わった回を面白がれた。

絵柄可愛らしく、男子が愛嬌ある。ただ、光流と忍との描き分けはもっと明確にやって欲しかった。

人気あったのよくわかる。だから長期連載になったと思うが、長くなるとダレ非難が。作家のせいではなく、編集方針や販売事情に思うのだが。

序盤、瞬や一弘の存在が後年の中条比紗也先生「花ざかりの君たちへ」を思わせ、両作品10年以上の隔たりがあるが、設定を借用されている疑念は消えない。

ここからは全巻読み終えての追記。
一気に読まなくては浸れないほどには話がひとつながりでないのだが、過去に登場した人物やエピソードが後の巻にまた使われるので、6巻分そこそこ間遠にならずに読むべし。
途中、萩尾望都先生の「ウは宇宙船のウ」を連想し読みたくなった。

日本で私立の中学高校には寮を持っている所があるし、進学校だったりする。それを感じさせつつ、東京の西日暮里にある難関校を思い起こさせるエピソードも入り込む。ストーリーは豊かな発想で自由に展開するのに、実在感をうっすら期待させるいいところにポジションを取る、軽妙な作品だった。
2022/5/31現代ビジネス少女漫画部なるところからリレー形式で記事が出ると、スマホにニュースが上がった。
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