鬼滅の刃
」のレビュー

鬼滅の刃

吾峠呼世晴

説明文ばかりで臨場感なく感情移入できない

2020年4月28日
今更読んだので期待しすぎたとは思っていますが、正直何故こんなに流行ることができたのかと疑問に思うほど、なんというか普通の作品でした。
魅力的なキャラクターは多く登場するし、決してつまらないわけではないんですが、特に絶賛したいほどでもないな、という感想です。

妹を鬼にされて人間に戻すために鬼狩りの仕事に奮闘する少年っていう、少年マンガらしい熱い設定で良いなとは思うんですが…
その設定を活かすだけの魅せ方ができてませんよね。
そもそも、主人公の炭治郎は「禰豆子の為に鬼狩りの仕事がしたい!」と自分から言い出したのでしょうか?
そんな描写も一切ないまま、修行つけてもらって、あれよあれよという間に強くなって鬼殺隊の仲間入りをしていました。

強くなった時に、炭治郎を鍛え上げてくれた鱗滝さんが抱きしめてくれたり、時には涙したりと、修行の中で炭治郎と師弟としての絆を育んでいたんだなって分かる描写がありましたが
読者はそれを見て初めて「そんなに仲良くなってたんだ」って気付くような見せ方でいいんでしょうか?
私は描写不足すぎると感じました。

キャラクターが泣くような場面では、読者にも感情移入して泣かせて欲しい。
これまで少年マンガとはそういうものだと思っていました。
設定だけは熱いのに中身は全然熱くなくて、流れるように物語が進んでいく中で1番印象に残ったのは、ギャグ的なやり取りが多いなということでした。
途中から、ギャグ漫画だと思えば良いと考え始めましたが、それはそれで中途半端で微妙だなと。

大事な場面をナレーションのような文章で表現する手法ばかり使われている事に段々とストレスを感じるようになりました。
せっかく少年マンガを描いているのに、なぜ絵とセリフで話を進めてくれないのか。
描いて表現する力がないから文章に頼っているのではないか?それなら漫画である必要は無いのではないか?と、辛口になりますがどうしてもモヤモヤが止まりません。

途中で打ち切りになった作品だと言われても、個人的には納得できてしまうクオリティだと感じました。
にも関わらずこの売れ方は、アニメのおかげだとか、ゴリ推しにも感じる著名人達の発信で「面白い作品」として広まっているだけなんだなと。

期待し全巻買ってしまったので読みますが、これが今1番人気の少年マンガなのだと思うとなんだか今の時代が悲しくなりました…。
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