待望のエッセイではない福満作品

エッセイ漫画家としてブレイクしたけれど、ストーリー物は独特で面白い。特にリアリティの出し方が素晴らしい。ディテールにこだわって、登場人物のセリフや振舞いに生活感、日常感が詰まっていている。

その一方で物語設定は常に突飛。ゾンビものや超能力？ものなど、シチュエーションの奇抜さと不条理さはサブカルど真ん中で最高。

生活感あるキャラクターの内面、非日常の舞台設定、そして意味なくエロく描かれる女性キャラという三本柱が本作品も健在なので、福満作品好きは楽しめると思う。

女性キャラは型通りのヒロインではなく、ちょっと性格が歪んでいる(性別を超えて作者本人の性格に近い？)ところは終わった漫画家から踏襲されている。たぶん女性キャラにリアリティを出そうとしてるのかも。

ここからさらに面白くなるかどうかはストーリー展開によると思う。序盤は一話完結で世界観を出し、中盤以降に山場を持ってくるという、ゾンビ取りガールや中2の男子と第6感で取られた手法を本作も採用すると思われるので。