このレビューはネタバレを含みます▼
誰にも望まれずに生まれ、親の愛情も温もりも知らず、父親違いの妹を守ることだけに自分の存在を見出して、身体を売りながら必死に生きてきたざくろ。妹が幸せになったら自分は死ぬことしか考えていなかったざくろ。偶然の出会いから上流階級の子息たちが通う全寮制の高校に入学し、そこで上級生九条猛と出会って、初めて自分自身を生きる事を知っていきます。
激甘なシンデレラストーリーのなのですが、ざくろの背景があまりに辛すぎて、息が詰まりそうに苦しくなる時もあります。でも、それ以上に桁外れの設定の登場人物たちが華やかに賑やかに彩ってわくわくさせてくれる作品に大満足。
中でも、猛の弟が生まれた時に、親の愛情を受けた事のなかったざくろと妹が、赤ちゃんが生まれてきてくれたことをただただ喜ぶ九条の両親の愛を目の当たりにして衝撃を受けるシーンは胸が詰まりました。そんな2人を見て、ざくろたちを同じように抱きしめ親の愛情で2人を包んだ九条の両親。2人の心に一番欠けていて、一番欲しかったピースがはまった瞬間でした。作品中一番泣きました。
ワクワクとドキドキハラハラ、キュンキュンと沢山詰まった最後は飛び切りの笑顔になれる作品です。