黒蔦屋敷の秘めごと
」のレビュー

黒蔦屋敷の秘めごと

大海とむ

ラストがちょっと消化不良かな…

ネタバレ
2020年5月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ ファンタジーとしても恋愛物としても、丁寧に描かれていて面白かったです。この作者さんはいつもキスの描写が美しく情熱的で、それも素敵。ただ最後、坊ちゃまが魔物になった後の新たな苦悩や千鶴との新たな暮らしが描かれていないので、それ以前と何がどう変わったのか、『以前の自分ではなくなってしまった』魔物坊ちゃまと千鶴の恋愛関係がどんな形になったのか、ちっともわからない。そのため、魔物になるという究極の選択のすごさや、そうまでしても共に生きようと覚悟した2人の愛の深さが、何だか宙ぶらりんになってしまったというか…。『結局、魔物化する前の暮らしとたいして変わらなかったっぽい?しかも早死にする不安も解消できたわけだし、それならさっさと魔物化すればよかっただけの話では?別に“決死の選択”的な悲壮感出す必要も無かったし…』とつい微妙な気持ちになってしまう終わり方で、それだけが残念。あと個人的には、坊ちゃまが自分のことを坊ちゃま呼びするのもちょっと苦手かな💦でも、全体としては魅力的なストーリーで、楽しく読みました。
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