流浪の月
」のレビュー

流浪の月

凪良ゆう

水量が大きくなればなるほど抗えない

2020年5月11日
ページ数 286頁
読了時間 7時間

本屋大賞受賞したということから、すぐに購入して読み始めましたが、とても面白かったです。
途中、ぐだっとなるところがあり、そこを読むのは辛かったのですが、主人公の何ら分かってもらえない気持ちを描写するために必要でした。
主人公がなぜ抗わない、なぜ戦わないという批判もありますが、この小説ではそこも巧みに表現されております。
小雨であれば傘はさします、大雨であってもなんとか傘はさすことができます。しかし、それが滝のように降る雨だと?

この小説ではダムの放流のようにありとあらゆる人が善意や悪意をもって主人公の二人を襲ってきます。その善意や悪意の水に呑まれた二人は抗えますか?そのまま流れて行った方がどこか楽園に着くようになるのでは?と思わせてくれた小説でした。

本屋大賞だけに留まるのは惜しいと思った作品です。
ぜひ!
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