惑溺
」のレビュー

惑溺

きたみまゆ

切ない大人のラブストーリーです。

ネタバレ
2020年5月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 切なくてたまらない大人のラブストーリーです。
ヒロインもまだ23歳、ヒーローはまだ19歳の高校生で、なのに、堪らないほど、切なくて涙の物語です。生い立ちのせいで、外見だけはカッコよくてしょうがないヒーロー。でも、いつも、女性とうまくいかない。お互い対する執着の度合いが違うから、すれ違っていく。
ヒロインは、初めて、見も心も焦がすような恋に落ちていく。でも、自分の気持ちや自分を語ることが出来ないヒーローの冷たくわかりづらい態度、体だけを繋げる恋に、ヒロインは擦りきれてしまい、勇気もなく、彼氏の優しさにすがってしまう。
そして、クリスマスイヴの悲しい別れ。
三人ともに、立ちすくむしかない悲しい恋でした。
ヒロインの元カレが二人の背中を後押ししたけれど、真意は、ヒーローには伝わらず。
3年間、他の恋もしたけれど、それでも、ヒロインのことを忘れられず、引きずっているヒーロー。
偶然の再会によって、なんとか互いに、細い糸を繋ぐように、手帳と鍵を各々相手に託します。
三年経って、大人になったヒーローの勇気によって、悲しかったクリスマスイヴは、ハッピーエンドです。作者さんの文章や表現が上手いのか、色んな女性と関わったヒーローが、ただの下半身だらしない男性には見えなくて、切ない、なんとか生き延びてきた、守ってやりたくなる人に見えました。
他の作品も読みたくなるいいお話でした。
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