夏の魔物 分冊版
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夏の魔物 分冊版

ノムラララ

普通ってなんだろう

ネタバレ
2020年6月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最新4巻読了。
最後のシーン、村田くんのセリフに「普通とはなんだろうか」と考えさせられた。
村田くんは男の子として生まれたけど、女としての機能も持っている。陽菜子ちゃんは女の子として生まれたけど、男の子としての機能も持っている。2人の体にとってはその状態が普通。
ただ、早めに体の特性に気づいて共存してきた(つもり)の村田くんと、気づいてから間がない陽菜子ちゃんでは、そこに対する認識にズレがあって、おそらく5巻以降ではその認識のズレが関係のズレに繋がっていくのでは、と感じた。
(つもり)と格好書きを入れたのは、「普通がいい」といった陽菜子ちゃんに「普通ってなに?」と問い返したシーンで、おそらく村田くん自身も頭では理解しているが、気持ちはそこから解離しているのだろうことが垣間見えるから。そんなに簡単に割り切れはしないということか。
話が大きくなってしまうが、この物語のように性が絡まずとも、人間ひとりひとり、それぞれの体には微妙な差がある。中には、見えない障害を抱えていたり、わかりやすく四肢に欠損があったりという人もいる。
なにが普通で、なにが普通ではないのか。
それは、つまるところ他人が決めることではなく、本人が決めることなのだと、そして、それを受け入れていくことには大きな壁があるのだと、2人を見ていて改めて気づかされた。
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