【電子版限定特典付】 少年の名はジルベール
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【電子版限定特典付】 少年の名はジルベール

竹宮惠子

大泉サロン

ネタバレ
2020年6月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 半世紀前の、少女漫画界隈の一端を垣間見ることができます。二十歳前後の女性が集い、漫画で表現することについて熱く語ったり、編集者とどう向き合ったか、24年組と言われる漫画家や名の知れた漫画家達との付き合い等濃密な出来事、良くも悪くも身近な人に大いに刺激され、かなり赤裸々な思いも記載されています。自分が描きたいテーマや表現に対して編集者が望む内容との解離、ファンの反響と書籍の売上。編集者の言い分や実状も成る程と思う部分もあれば、先を見極める難しさも感じます。あの時代を感じるもの、作家特有のもの、革命を目指すとか、原作付き作品について等興味深い内容です。ヨーロッパ旅行に行って、建築物等実物を見て手に触れて描写に活かす話も良いです。このように漫画が肉付けされ、書く側も読む側も納得して実感出来る描写になる。竹宮先生もいろいろ頑張ったり悩んだりされていますが、やはり、萩尾望都先生は独特の世界を持っていて、同業者から認められる才能がある人だと改めて認識します。編集者から優遇されていたような記述がありますが、萩尾先生御自身によるエピソードでは、ネームのボツが続いたり、ファンレターは多いもののアンケートが下位を彷徨っていたので連載打ち切りを示唆されていたとか、読者に生原稿をプレゼントしてアンケートの投稿依頼をしたとか苦労話もそれなりにあるようです。
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