ぼくの地球を守って
」のレビュー

ぼくの地球を守って

日渡早紀

どうしようもなく惹かれ合う男女

ネタバレ
2020年7月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 紫苑と輪にどこまで感情移入できるか、がこの作品を面白く思えるかどうかの一つのように思っています

恋愛パターンは人それぞれで、
直感で好きになるタイプと、友達から好きになっていくタイプなど様々あるようですが、
紫苑と木蓮は直感で惹かれ合った男女ではないかなと思っています
一目見たときから強烈に惹かれ合う二人、昨今のスピリチュアルではツインレイなんて言われているみたいですが、それに近いような気がしています


何度も何度も読み込んできました。最近思うのは、
紫苑はとにかく恋愛に不器用、と作中で言われていますが、
表面に本当の気持ちを出さない、出せない、自分の気持ちを(あえて?)自覚できていないように思っています

槐もそれを指摘していましたね。また深層では紫苑は木蓮にはかなわない、とわかっている描写もありましたし。
それを直接相手に伝えることができない子供のように純粋で不器用な性格、が紫苑なんだと思っています
一読者として、そういう紫苑の性格にとてもシンパシーを感じます。
木蓮も紫苑のそういうところに一番惹かれたのではないかなと思います

なぜ紫苑が木蓮に対してあのような暴言をしていたのか、なぜあんな暴挙をしてしまったのか?
なぜなのか、読者に考えさせるような構成にしてあるように思っています
結局、木蓮はそういう紫苑の全てを受け入れて許した、
どのような問題が起こったとしても、許す、
それが本当の愛情というものではないかな、と読んでいて考えさせられたのもこの作品です


年齢を重ねるごとに読み返してきましたが、
現実でも紫苑のようなタイプの男性に会ってきました。
とてもリアルな感情表現、プライドと嫉妬にまみれ、ひねくれた紫苑の性格に、
性差を超えてシンクロしてしまう自分がいます

本当の自分を愛し、受け入れあえる相手を輪廻しながらいつまでも求め続ける、
永遠の人間のテーマのように思えています







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