落とし子と従者の物語
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落とし子と従者の物語

水花-suika-

醜い奴隷と美しい主の復讐と救済の物語

ネタバレ
2020年7月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 領主の愛人の子・ユリウスに買われた、醜く傷だらけの奴隷・クスター。ユリウスの護衛になったクスター目線で、ユリウスの復讐と救済の物語。ユリウスが複数の男と関係している描写はあるけど、クスターとはキス止まりなのでBL要素は限りなく薄いです。キスも性愛ではなく安らぎを求めた面が大きいので、二人の間にあるのは恋情よりなにより主従愛。でもそれがよかった。ユリウスの境遇が重くて切なくて、歪むなと言う方が無理な話。父も兄もきっと伯父達も、彼らなりに愛情はあったんだろうけど誰もユリウスを本当に救おうとはせず、だからこそ混じり気なしの忠誠と愛情を示したクスターの想いが尊かった(あとセスも)。心身共にユリウスの傷がなくなることはないだろうけど、優しい愛情に包まれて積もり続けた淀みや澱が少しずつ消えていけばいいな。これからはユリウスが穏やかな日々を過ごせますように。
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