このレビューはネタバレを含みます▼
時代が時代なので覚悟していましたが、浅海がかわいそうすぎて、浅海ファンにとっては救いがなかったです。中盤まるっと出番もなく、ようやく再登場かと思えば大好きなピアノができない家の事情。それを乗り越えたかと思えば今度は指の怪我。そして徴兵……。作者のあとがきには『役割を浅海に集約させた』とありましたが、その割には彼自身の掘り下げをしきれていないように見えました。母や叔父との関係もうやむやで正直消化不良です。
ただそれでも、全編通して活発な主人公には好感がもてたし、あの激動の時代を生き抜くという空気感がとても表現できていて、面白かったことには違いありません。
それだけに、終盤の戦時中ラブストーリーあるある展開が悔やまれます。やっぱり小夜子が浅海と共に生きて、共に音楽の道を歩む、そんな未来が見たかった。
子供と天良のおかげで希望が見える終わり方にはなってますが、これ毎月連載を追いかけていたら耐えられなかったかも……それくらいまだ受け止められないです。