傷だらけの箱庭
」のレビュー

傷だらけの箱庭

まさき茉生

シリアスで重めだけれど読みごたえたっぷり

ネタバレ
2020年8月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 他作品からドハマりして、作者様に惚れ込んで購入。
4年ほども前の作品なんですね。
一番新しいものを始めに読んだので…超絶的な絵の綺麗さ、心理的・物理的描写の巧さはこの頃から健在なのですね。

割と苦手としている学生もので、後輩と先輩かあ…と設定にあまり気乗りせずに、でもまさき先生の作品なので読んでみたくて。
各々のトラウマは人と比べるものではないですが、充の孤独や気を遣われ腫れ物に触るように扱われ愛されない日々の辛さは想像するにも辛かっただろうけど、個人的には唯人のほうがより壮絶だと思う…
互いががそれぞれの満たされない空虚な穴を埋め合って、少し歪な愛し方で、それは共依存かもしれないけれど、相手を必要とする、好きだと思う気持ちが純粋ならそこになんの問題も存在しないと思います。

初めは充を見て「あー出たよこういう系のキャラ…」となり、無理だわーと思ったんですが(光のない暗い目と笑顔が怖すぎた)充が唯人を本当に好きになってからの表情と態度の変化がめざましく、そのあとからは嫌悪感はなくなりました。(どころか場合によっては可愛いと思う時すらある)
彼の恋愛観や愛情表現はやっぱり完全には理解できないし、ひょうひょうとしたタイプのキャラは好きじゃないけど…

唯人は思ったより口が悪い、というか男子高校生のリアルめな話し方でギャップがあってよかったです。
地味キャラ設定だけど目元綺麗でキリッと整ってるし普通に美形かと…
すぐ涙出ちゃうのがほんとに可愛い…!めちゃくちゃツボです。
トラウマに襲われた際の様子は可哀想で、でもいとおしくて、なんとも表現しづらい気持ちになりました(庇護欲?)
トラウマ発動時と変質者に襲われるシーンの唯人がすごく好きです。

シリアスベースのものは好きなのですが、この先生の作品の中では間違いなく一番重く暗くエロもハードな作品ですし、読んでいて辛く感じることもありましたが、互いに暗い過去を持つ少しややこしいふたりが最後に無事結ばれて幸せそうなのを見られて、ようやく気持ちが晴れました。
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