コーヒー&バニラ
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コーヒー&バニラ

朱神宝

日本のTLと海外ロマンスは設定が酷似

2020年8月9日
常々、私は日本のTLとハーレクインなどに代表される、海外ロマンスやエロティカ小説は大変に設定が酷似していると感じていた。
傲慢で金持ちのイケメンがひたすら浮気もしないで一途にヒロインだけを情熱的に愛してくれるという。
これらの両方の作品では、本当にこういう画一的な完璧ヒーローしか出てこない。
日本ならスーパーダーリン(スパダリ)、海外ならアルファ。
そしてこれはTLがこうした海外ロマンスに影響を受けているからなのか?
それとも、単にどの国でも共通の女性達に都合のいい願望全てをてんこ盛りにした作品というのはよく見られるということなのか?
イケメンですごい金持ちなのに浮気しないとか。
それまでは多くの女性と浮名を流してきた女たらしのヒーローがなぜかヒロインには夢中になるとか。しかし、個人的にはこの手のあまりにも女性達の都合の良過ぎる願望を詰め込んだ日本のTLや海外ロマンス小説は自分は好きではない。


ヒーローがことごとく、大企業の社長だの、大富豪だのばかりで私としてはしらける。
また、どちらの作品もヒーローにほぼレ○プまがいのことをされても、ヒロインはそれに情熱的に応えるという、これまた非現実的な展開ばかり。
女性側に都合のいい設定ばかりで、更に何かと内容や展開に現実性を欠いているというのがTLや海外ロマンスの大きな特徴。そしてこの「コーヒーとバニラ」も、とにかく女性に都合のいい願望を詰め込みまくった内容である。
可愛らしくて素直なだけのヒロインリサがひたすら大企業のイケメン社長深見に溺愛されるという。ダラダラとひたすらいちゃつく二人を見せられるだけの内容を読まされ続けて、こちらとしてはしんどいだけ。途中で飽きる。
ヒロインが田舎出身だから素朴というのも、紋切り型過ぎるし。
致命的なのはとてもこのヒーロー深見の言動が有能な大人の男性とは思えない点が多過ぎる点である。
いかにも深見というのは作者が自分の空想の中だけで描いた、有能な仕事のできるイケメン社長という印象。
おそらく、今後も素晴らしい深見の経営手腕で会社が経営の危機に陥ることもなく、また、結婚した深見とリサの間にはこれまた容姿端麗で頭脳明晰な子供達でも生まれ、一家は末永く安泰に暮らすのだろう。
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