このレビューはネタバレを含みます▼
凪良先生の作品が好きで読み進めましたが、ちょっと期待外れでした。悩みながら詐欺を働いていただけで、誠意のある言葉や態度で接したこともないのに、わかってくれて愛してくれてお金を援助してくれて、裏切ってもひたすら信じてくれて養ってくれる…というのが、主人公にとって都合が良すぎるような気がしました。蓮は良心の呵責に苛まれてはいたけれど、自首したわけでも、加賀谷に真相を告白したわけでもなく、捕まらなければどうなっていたかわかりません。捕まったから反省したように見えるし、そのあと加賀谷が迎えに来るのも予想できて、ご都合主義に見えました。現実にも犯罪者と結婚したり、ファンになる人が一定数いますが、社会的に問題のある相手を好きになる人もどうかしていると思ってしまい、受け攻めどちらにも共感できませんでした。好きになったらどうしようもないとはいえ、まともな人が犯罪者にそこまでのめり込むものでしょうかね。「実は犯罪者と付き合ってた」とか「実は不倫してた」とわかっても、好きでいるのがドラマのお約束なのかもしれませんが、私なら冷めちゃうかも。かつて好きだった人に似ているというのはあるでしょうが、加賀谷が他のことを犠牲にしても執着するほどの魅力や価値が蓮にあるということは伝わってこなかったので、消化不良でしたね。「厄介な相手だとわかっていても、やっぱりこの人しかいない」というような説得力が欲しかったです。