このレビューはネタバレを含みます▼
ん~なんとも重みのあるというか、深い作品です。ラブストーリーなんですけど、主人公たちの持つ個人背景(社会背景)が丁寧に描かれているので、そこに影響する心理描写が、更に深く読み取れます。
ブラック企業で働く社畜リーマンの浩国は、パワハラを受けながら、プライベート時間を削り、体力も心も削られる日々。責任感もあるのでしょうが、辞める事さえままならず、雁字搦め。わかります。辞めるのもパワーが必要だし、転職にもパワーが必要なんです。そんな浩国の前に久しぶりに現れた幼なじみ?の甲斐。子供心でも、結婚の約束をした仲(可愛い)
甲斐はといえば、こちらも何だか人生諦め顔。子供の頃から、期待しない、求めない、を悟り切る感じが哀しいです。でも仕事や居場所を諦めても、浩国の気持ちは求めたかったんですよね。浩国が甲斐にとっての譲れない居場所。だからこそ、浩国さえも諦めて手放そうとした時は、胸が痛みました。
浩国にとっても失くしたくないものが……
もう、うるうるしますよ、これ。二人それぞれの立ちはだかるものから、一歩前に進めば何か掴めるんです。勇気さえあれば、前に進めるんですよね。絶対幸せになって欲しいなぁ。
浩国は、甲斐の宣言通り手中に落ち、チョロ国と命名され、幸せそうでなによりです。
とっても素晴らしい秀逸作品です。
ちなみに、『あかりと彼はなやましい』も素晴らしいです。性的マイノリティを考えさせられる秀逸作品です。鶴亀先生、お見事です。