このレビューはネタバレを含みます▼
作者さん買いです。突拍子もない契約内容からどんな展開が待っているのかとワクワクしながら読みました。表紙絵から龍之介が神経質で冷静でスマートなエリートであることが想像できましたが、読み進めていくと意外にも感情豊かで、龍之介がどんな過程を経て現在に至るのか興味津々でした。龍之介の契約相手となった茜音もさすがは有能な社長で、さばさばとして合理的で豪快で、人を惹き付けるカリスマ性があり、そんな二人が契約関係にありながらも駆け引きをしながら恋に落ちていく様子、また作者さんの描くエロいシーンは読み応えたっぷりでした。もうここまでで気持ち的には満足感がありましたが、今回のストーリーの本題はここからで、龍之介の悩みの種に茜音も巻き込まれていきます。SNSによる攻撃は今や社会問題であり、その標的となってしまった時にどう対応するのか、被害者の憤りと恐怖はどれほどのものか、当事者ではない第三者が介入し膨大に膨れ上がる批判や誹謗中傷の凄まじさには考えさせられます。茜音は龍之介の助けにより難局を乗り越えましたが、お金や人脈があったから出来た方法であり、それがない場合にはどうなってしまうのか、本当に怖いと思いました。どんなに第三者が批判したところで、本当のことは本人にしか分からないという茜音の言葉が印象的でした。それにしても、茜音が会社や社員を守ると決意し腹を括った場面は男前でカッコ良かった!!龍之介が霞むほど全編を通して茜音のキャラが光っていました。