クズの教育
」のレビュー

クズの教育

藤村まりな

深い作品。お見事です。

ネタバレ
2020年8月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 面白かったです。自分の想像とは全く違う内容で、意外性にびっくりして感心しました。タイトルや帯から考えて、先生やヤンキー馬場が優等生郁哉に対して、クズっぷりを見せるんだって思いますが…
確かに先生のヤッてる事は、クズかもしれないけど、一概にそう言い切れない気がします。生徒に手を出すなんて…となりますが、心に傷のある郁哉を受けとめていた?いや、まぁやり方間違っているとは思いますが…そこに第三者の馬場が絡み、馬場もクズなのか?と思っていたら、予想を跳ね返す意外といいヤツで、びっくりです。先生によるまさかの計算に組み込まれていたとは…
それぞれの思惑やからくりがわかると、もう拍手ものです。テーマがぶれず、構成がしっかりしてるので読み終えて、感心しきりです。とても良く出来た作品です。タイトルはクズですけど、嫌悪感なく良かったです。クズを強いて挙げるとするなら、医者のくせに、息子に暴力を振るい続ける郁哉の父親ですね。難点は、セッ☆スシーンがグロいし、綺麗とは言えません。
先生の思い、郁哉の思い、馬場の思い、ちょっと切ないですが、みんな幸せになって欲しいなと思います。

どなたかレビューに書かれていましたが、『葛の恭郁』って、スゴい。気付かれた方、スゴいです。拍手です。パチパチパチパチ。

そして番外編。『優等生にセッ☆スなんか教えるんじゃなかった』は別角度から描いた3人です。これからこれをご覧になる方は、くれぐれもご注意下さい。全く異なる視点(クズ教師からの目線)で描かれています。『クズの教育』の感想を全部覆す最低なものに豹変しています。全部台無しとなりました。『クズの教育』の感動を返せ。それとも私の解釈が間違ってたんでしょうか。わからなくなりました。恐ろしい作品です。
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