このレビューはネタバレを含みます▼
作者さんの作品の中で一番面白かったです。が、最初はどういう話なのかを理解するのに時間がかかり、それが分かってくると愛里の受けた屈辱や悲しみや怒りはいかほどかと激しい憤りを感じました。しかし、もう既に別人だと言っても信じてもらえないことを嫌と言うほど悟っている愛里は、誤解を解くことはせず、なるべく夫の漣（れん）の言う通りにし、漣のいる離島で俗世から離れてひっそりと暮らせる環境を長く維持するため、この契約結婚を全うしようと考えていました。漣にも複雑な事情があり、それも興味深かったです。しばらく過ごすうち漣と漣の世話人たちに受入れられる愛里。惹かれ合う二人は結ばれ、ようやく漣が真実を知ることになり、それからは安心して読むことが出来ました。そして漣の事情も明らかにされ、どんでん返しに次ぐどんでん返しに、息を付く間も惜しいほどに一気読みしてしまいました。悪意に満ちた嫌がらせによって身の破滅に追いやられた愛里と人嫌いな海運王の漣だからこそ、このような決着が出来たのだと思いました。辛い経験をした二人にはこれから幸せになって欲しいです。
レビューをシェアしよう！
ERR_MNG