吉祥天女
」のレビュー

吉祥天女

吉田秋生

美と恐怖

2009年12月26日
美しく生まれた為に幼い頃から男たちの欲望の餌食にあい、自分の美しさを呪いながら成長した小夜子…
普通なら素敵な恋愛を夢み、一番幸せな年頃のはず…小夜子もきっとそうなりたかったに違いないけれど幼い頃の恐怖の為に自分を守り、男たちへの復讐を生きる糧にするしか心のバランスを保てる方法が無かったと思います。小夜子の容姿では無くて、本当の小夜子を見て誰よりも弱く傷ついた心を解ってくれる男がいたら、きっと小夜子は幸せになれたと思います。
いつも側にいて小夜子が唯一心を許した彼も見守る事しか出来なかったから…
彼女の周りには小夜子を利用してあわよくば自分のものにする事が出来ればと言う男たちしか居なかった。
でも1人、小夜子の容姿では無く小夜子の心を解っていた涼も居なくなってしまった…

小夜子はこれからも自分しか信じる事しか出来ない、自分の美しさを呪い続けていくしか無い運命を一生生きていくのかと思うと哀しすぎると思い、寂しくなりました。
女は美しくあれば幸せと言う定義は無いのだと考えさせられた作品です。
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