伯爵に拾われた娘
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伯爵に拾われた娘

ヘレン・ディクソン/なかやま衣子

基本はよい話とは思うのだが、何かが薄い

ネタバレ
2020年9月26日
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父親ほど歳の離れた残酷な伯爵との婚約を厭い、家出したヒロイン。しかし、卑劣な悪漢に捕まり、その手下として少年の姿に身をやつしたまま、スリを働く日々。そんなある日画家にして実は伯爵のヒーローにスリをしようとして捕まるところから物語は始まる。
物語の展開はドラマチックだし、絵調も合致して、非常にいい感じなのだが、ヒロインの行動に納得しにくいところが時々あったり、エピソードの歯抜けを感じるところがあったのが残念だった。
目につきやすいところでは、ヒロインがヒーローの従弟を捜すという依頼を受けてお金をもらったことを悪漢にそのまま伝えたり(しかも悪漢のもとを出て行きたい話までご丁寧に伝える危機感のなさ)、悪漢に脅された際にヒーロー従弟の情報も得たのにヒーローに全く告げずに勝手に行動したり。ヒーローが悪漢との接触に気付いてないならまだしも、しっかり気づかれてるのに黙る必要性ある? 賢そうなシーンもありながらのヒロインの危機意識の薄さに違和感。
一番歯抜けっぽく感じたところはヒーローが以前付き合ってたモデルの女性の扱いかな。あそこまで出したら、ヒーローが振るなりなんなり、しっぺ返しを食うシーンもちゃんと入れて欲しかった。女性関係は始末してきたみたいな一文で終了とか納得いかない。
あと、悪漢の最期もなんか危機感のうすーい感じで、ヒーローをわざわざ火に飛び込ませる意味あった? あそこまでさせるなら、ヒーローにもうちょっと決めて欲しかったかな。
恋愛模様ももう2、3二人が惹かれ合うエピソードが欲しかった。両思いになったと思ったら即ベッドインするほど燃え上がるには、そういう心境になる素地が薄く感じたので。原作読むと解消するのか。謎。
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