色欲の春~秘めた色香は筆先に宿る~
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色欲の春~秘めた色香は筆先に宿る~

笹木ささ

全体的には悪くないんだけど

ネタバレ
2020年9月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻無料+6巻まで試し読み。
呉服屋の若旦那なヒーローが、ある日訪れた遊郭で出会った水揚げ前の遊女ヒロイン。他とは違って客に媚びない、接客中にほかの遊女の芸に見惚れるなど変わったところのあるヒロインに興味を惹かれて、水揚げを引き受ける。
床入りをギリギリまで嫌がっていたと思われるヒロインの、抱かないのかという挑発に乗って、水揚げを終わらせるが、後日同じ店を訪ねるとヒロインは遊女を辞めていた。
というのが1巻。で、後日思いがけぬ形で再会したヒロインの正体は絵師の娘で、枕絵に色気を出したいがために、男女のことを知りたくて遊郭にいたことがわかる。その後も何度か関係を結ぶが、ヒロインに恋愛感情はなく、嫉妬もしないヒロインにヒーローの方が腹を立てのめりこんでいくようになるもよう。
ヒーローには馴染みの花魁はいるし、許婚もいるしで、その上ヒロインまで欲しいとかさすがにヒーローとしてこの二股三股状態はどうなのという感じ。ヒロインも恋愛ごとに興味なさげだし、6巻まできてようやくヒーローが恋心自覚かって感じでは進行遅いという意見も納得。
実在武将使ってた話よりはオリジナルで勝負してる分面白くはあったが、相変わらず歴史の勉強しているのか怪しい描写が健在なのが気になった。ヒロインが遊郭に入って、水揚げもしてやめるという描写があるが、だいぶ無理がある。店に入る時って普通は借金(支度金的なものを含む)を背負って入るような契約になるので、入ったけどすぐ辞めますは通用しないと思う。遊郭に入ると遊女は自由に外には出れなくなるから、外からお金を持ってくるのも無理だし。せめて、ヒロインがいた遊郭の人間と顔見知りで、説得して一日体験入郭させてもらいました、ぐらいにして欲しかった。
この作者、時代物好きな割に設定の脇が甘い。着物の描き方とかちゃんとしてるのはいいんだけどなあ。
お金払うにはあと一歩魅力が足りない。
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