ジブラルタルの風
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ジブラルタルの風

エマ・リッチモンド/篠崎佳久子

親の因果が子に報い

ネタバレ
2020年9月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 期間限定読み放題。
弁護士事務所でバリバリ働くキャリアウーマンのヒロイン。ある日養母に呼び出され、帰った実家で出会ったのは養父の知り合いらしきヒーローだった。養父の蔵書を調べているというヒーローを警戒するヒロインだが、ヒーローは何故かヒロインがヒーローを誘惑しているかのように言って、迫ってくる。ついにはキスをされるが、養母にその現場を見られ、ヒーローは姿を消す。
ヒロインはヒーローの態度のわけを知りたくて伝手をあたるもヒーローは見つからない。仕方なく養父の遺言を果たすため、ジブラルタルに向かったヒロインの前に、探し続けたヒーローが現れて…。
キスまでしておいて、再会後のヒーローはヒロインを拒絶しまくり。そのくせ、絡んでもきて、ヒロインのために宿の手配をしたりとつかみどころがない。ヒーローの態度にヒロインと一緒にこっちまでぐるぐるさせられる。徐々にヒーローの背景やヒロインの生い立ちも判明し、ヒーローがヒロインを拒絶するわけもわかってくる。
レビュータイトルにも書いた通り、ヒーロー母の起こしたことで父とヒーローの心も関係も歪んでしまったというオチ。それ故にヒーローは人を愛して、関係を結んでしまうことを恐れ、自分の心を揺さぶるヒロインからも離れようとした。
ヒーローの心を知ったヒロインの体当たりの愛情を受けて、ヒーローは人を愛するということを知っていき、ヒロインもまた自分を誤魔化さない素の自分でヒーローを愛していく。
恋愛的にはハッピーエンドだが、二人が揉めてるターンが長いし、絵も含めてなんだかゴチャついた印象があって、人に薦めるのは悩むところ。最後にやっとヒーローが救われた感があるが、ヒーロー父は救われずに亡くなっているのもなんとも言えない後味も残る。
というかヒーロー母親がなあ。元凶のくせに悲劇のヒロインぶってて腹立つ。ヒロイン養父もあれだし、養母も理想の押し付けやら厄介事の押し付けやら、親世代にいい人間はいないのか。
買ってまで読むのはオススメしないが、読み放題ぐらいなら興味があればというところか。
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