鬼子の夢
」のレビュー

鬼子の夢

丸木文華/笠井あゆみ

ホラー風味の日本BL昔話

ネタバレ
2020年10月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 世界観や設定が安定していて、すんなり物語に入れます。岡山弁らしき方言がイイ味を出していて、通常の会話ではほっこり感を、シリアスなシーンでは恐怖感や切迫感を引き立てます。主役CPが惹かれあう心理描写が自然で、情念が匂い立つような濡れ場が何度もあって官能的でした。攻めの佐助は筋骨隆々で男性性の塊のような人ですが、ペットや受けの呼び方が可愛らしくてツボりました。受けの与六も不憫で健気なだけのキャラではなかったので、人間性に厚みがあって良かったと思います。怖さ、切なさ、穏やかさ、エロさと、メリハリのあるストーリー。自由に想像できるミステリアスな部分も含め、思いっきり作品世界に没入させられました。単にBLというだけでない、人間の業を感じさせる奥深い物語で素晴らしかったです。218ページでここまで密度の濃い物語を纏め上げる丸木先生の才能に脱帽です。
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