天使を待つシンデレラ
」のレビュー

天使を待つシンデレラ

エリザベス・ベヴァリー/橋本多佳子

やっぱり楽しさ溢れる良質コメディ

2020年10月29日
橋本先生は重いのも軽いのもどちらにも力を発揮するHQコミックにはなくてはならない方。コミカルな描写が散りばめられているのに、二人の盛り上がりやめくるめく旅先の日々に育まれていく感情が所々巧みに差し込まれ、お話はかなりぶっ飛んでいるはずなのに、なんだか丸め込まれてしまう。縦横無尽に表現されていて、橋本先生そこに居てくれてありがとうの世界なのだ。滑らかな筋運び、クスリと笑える軽快さ、人物の思考回路への共感性、諸々さすがなのだ。室内、洋服の絵もいい。トーマスが駒としては十二分の働きをするが、漫画という表現方法の為に(原作あっての物と承知しているが)作り出された気がしてきてしまう。


マルタ島、パタゴニアはいつか行ってみたいと思っている旅先候補の上位。人気のマダガスカル島も興味あった場所。ちょっと旅情誘発不発だったが、何よりこれだけの旅とエピソードいろいろ入っているのに散漫としないのが凄い。

「ひとりじゃないって やっぱり素敵ね。」
一緒だから出来ること。一人じゃない、二人だから出来ること。二人って素敵ね、と。そんな主題の筋一本、ちゃんと通っていた。

時節柄、イェーガーと来ると完結間近の「進撃の巨人」の方を思い出してしまって(読んだ訳じゃないのに話題作過ぎたから)、苦笑。
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