記憶の怪物 【電子限定特典付き】
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記憶の怪物 【電子限定特典付き】

MAE

兄の記憶を持つ、兄ではないもの

ネタバレ
2020年10月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大好きな兄・千晴を目の前で亡くした千澄。記憶の残るものを食べて本人に擬態する人工知能生物「ハピネス」の存在を知り、もう一度兄に会いたくて、兄の記憶を食べたRE614と共に暮らすことに。全3巻完結。記憶を食べるごとに兄そのもののようになっていくRE614の存在により、千澄の中の兄への想いが少しずつ形になっていく。ずっとBL色は薄めだったけど、3巻の兄(RE614)視点からぐんと進展しました。はっきりした描写はないのでそういう関係を持ったかは分からないけど、血のつながった実の兄弟なので苦手な方はご注意を。ハピネスの存在自体が良いものとは言えないし、実際問題が山積みなのですっきり綺麗な終わり方ではないけど、千澄には救いになったのは確か。切なくて、でも複雑な感情を丁寧に描いていて読み応えありました。3巻巻末に兄が生きていたら、のパラレルストーリーがあって、そこではしっかりHあり。これが現実ならよかったのになあ…。寂しい気持ちがちょっと救われました。
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