悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
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悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~

藍里まめ

やっぱり男性より女性が強い

ネタバレ
2020年11月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ やっぱり理想主義の綺麗事を抱える心の闇を知らない男性であるヒーローよりも、自分の大切な家族を傷つけられて、悪意には徹底抗戦しかない、世の中には、馴れ合えない悪意をもつ人間が存在することを幼心に悟ったヒロインのほうが、何倍も強かった。清濁飲み込む強さをもつヒロインととももに、戦ううちに、自分の大切な者を傷つけられた時の怒りや憤りを綺麗事ではなく、初めて実感し、悪意の元を家ごととり潰したヒーロー。そんなヒーローは、ヒロインに綺麗事をのたまった恥ずかしさを思い知っただろう。人間は自分が傷つけられることには、耐えられても大切な者を傷つけられることには、実は弱くて、その時の絶望や怒り憤りを想像出来ずに、真っ黒に染まった心を白く戻してほしいなとど、幼子のような綺麗事を言った自分がどれほど、物知らずか、想像力がないか思い知っただろう。そして、あれほど、ヒステリックな王妃は、実は亡き想い人への辛い気持ちと罪悪感に苛まれていた弱い女性であり、全てを知りながら、それこそ清濁合わせ飲むを地で行っている国王が誰よりも人間としても為政者としても素晴らしい人間かを、ヒーローもヒロインも知ることになる。そして、そんな国王に一番近い強さをもつヒロインの強い愛する心と覚悟に救われる弱いヒーロー。自分さえ消えればいいという逃げの姿勢で、逃げようとしたその弱さは、ヒロインの手に一生消えない傷を作ることになる。そして、そんなヒーローの罪悪感さえも、受け入れて飲み込む強さを持ってヒーローを支えるヒロイン。やっぱり女性は強いと証明するような物語。
番外編は、夫婦の暖かいエピソードのようで、やっぱり、ヒーローの考えの足りなさが露見。ヒロインをしばらく独占したいために、子作りを回避し、快楽を追いかけるその行為が、ヒロインが影でどんな風に言われて、公娼をという、ヒロインを傷つける噂を作り、その噂のせいで、可能性を信じる女性達の行いに、ヒロインが嫉妬し傷つけられることを誘発してるのに、嫉妬されて喜ぶ子供ぶり。
心を開かないヒロインに対して、俺を信じて、笑顔でいられるように、守ってあげると何回も誓ったくせに、女性の集まりでも、ダービーでも、あげくは自分がヒロインの手を傷つけて、結婚後も自分の欲望優先。ひとつも守ってないし!!逆に、強く変わっていくヒロインにどんどん守られてばかりで。とんだお子さまヒーロー。
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