このレビューはネタバレを含みます▼
夜中に読み始めて徹夜で読みました。最近まで記憶喪失モノは苦手だったので高評価にも関わらず未読でしたが、食わず嫌いせずもっと早くに読めばよかったなと思います。
感想は……言葉にできないです。全生活史健忘というのは「ここはどこ?私は誰?」という一般的に記憶喪失と呼ばれる疾患の正式名称らしいのですが、真文はそれだけでなく一定期間を目安に記憶が消えてしまう前向性健忘をも患っています。記憶が戻ることはありません。ある日いきなり自分のことを知らない人として扱われること。周囲の喪失感は計り知れないですよね。本人も覚えていないながらもそれがどれだけ薄情なことか理解しているので罪悪感を抱えて生きています。
衛がとりわけ気の毒でした。毎日話しかけてくる隣の家の息子に鬱陶しがりながらも仲良くなってきたかな、と思った矢先に「君、誰?」。唖然呆然ですよね。中二ですよ?まだ。それから四年間真文を支え、恋人になり、そして何度忘れられても傷つかない、と自分に呪いをかけてしまった衛。言葉通り記憶を失くした真文がフラフラと昔の自分の夢を叶えてくれた衛の店に足を運んでも言葉を呑んで淡々と接します。健気で痛くて切なかった。
ここまで書いておいてなんですがお母さんのことや久遠さんのことなどを書き始めると1000字オーバーすること間違いナシなのでここまでにしておきます(笑)
とりあえず、痛くて苦しくてとんでもなくシリアスだけど、救いもあって。(皆さん気になるかと思うので触れますがHシーンは砂糖先生の中でも特にしつこめ?に書いてあります。真文が超敏感なので切ない濡れ場でも読んでいてムラっとしてしまうくらいです汗)最後は笑って二人を見守れる筈なのでぜひこの作品を目にした方はお手に取っていただきたいなと思います。