素敵な彼氏
」のレビュー

素敵な彼氏

河原和音

ずっと二人の成り行きを見ようと思ってた

2020年11月26日
14巻で完結した。多くの人が、彼氏彼女、という状況に憧れる、その気持ちに主人公ののかが正直。彼女は幼い頃からだけど。恋に恋するという始まりもあるし、年頃になれば普通に、夢の相手を望むこと。その時期どうしてもこうだ。実際好きな人を見つけて、付き合う時間の長短はあれど、ごちょごちょ悩み、大人(大人の分別臭さがいいとばかり私は思えないが)には持てない時間を過ごす。相手が何を考えているか読めないし、自分は自分でぐるぐる考えてしまう。ののかはののかの思考回路で。一生懸命に誠実に、彼氏桐山君との関係や、ライバルとか、女友達との関係に取り組む。
二人が各々どう辿ったかで無数のストーリーがありえる。この彼桐山君は、女の子と身構えずに気楽に接することが出来てきたから、それなりに過去発展した関係の相手もいた。ののかは前向きに一歩ずつ自分の心の中に取り組み、一人相撲が出来ないために桐山君と二人で、二人の在り方を続けて行く。その過程で、中が見えにくい彼が見せてくる感情が、じわっと本気加減を垣間見せられた感じでなかなかクセになる。
ツンデレでなく、類型化は出来ないかもしれない。

最終話のジャンプがピンと来なかった。修学旅行を描けなかったことがあとがきに触れられていたが、そっちよりも、飛ばされた時間帯の時間経過不足感が、少し残念。あれからx年後、というのは物語のよくある締め括り方ではあるが、14巻の殆どを高校生活で読んできての事だから、間を感じたい。いくら、二人とも変わらない、と語られていても、だ。
途中間延び感もあったのに、最終話に及んでもあれこれ相変わらずぐるぐるいろんな事を考えていて落ち着かない。それも、変わってない、という証左かもしれないが。結末は気に入っている。

身近にもそんな年頃で出会って大学卒業後結婚した二人を知っているが、ある意味似たようなところで悩み、相手の元xの存在を意識し、それでも知り合ってから何年間互いに暖めてきた。漫画は、被片思いあり被横恋慕あり、ののかと桐谷君なりの日々をじっくり見つめてきた作品だった。

「高校デビュー」との共通点も、カップル数だけ物語が世の中あるので、私はそこ、気にしない。未読のままの「青空エール」、どうしようかな。

桐山君が、ののかのことを次第に自覚的に大切に捉えてると判るのを楽しんだ。
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