どうしようもない僕とキスしよう
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どうしようもない僕とキスしよう

北川みゆき

衣通姫や国色天香などの表現が大袈裟

2020年12月6日
まず、「衣通姫」や「国色天香」だの、いちいち大袈裟な形容に引っかかる。
この作者は本当に「衣通姫」というのがどんな存在の女性か理解して使っているのか?
衣通姫と言えばその美しさが衣を通して光り輝くような美女。
つまり、ギリシャ神話で言えば神であるゼウスの血を引くヘレネ並みの美女ということ。


とてもキャリアウーマンの美人に相応しい形容とは思えない。
特に冒頭から会社の同期であり、恋人でもない男性と寝るような女性に相応しい表現には思えない。
だから私の中ではどちらかと言えば「衣通姫」の形容が相応しいのは古風で気品のある美人。


それに「国色天香」というのも国中で第一の色、国一番の美人という意味。
しかし、とてもこの藍はそこまでのレベルの美女だとは思えないのだが。
せいぜい、一般人にしては美人レベルなのでは。
これら大袈裟もいい所の章タイトルも、何かヤンキーが得意がって、とにかく難しそうな漢字を適当に並べ立てて学がありそうに見せているような印象が。
これらの言葉の使い方の上滑りもいい所というか。


そもそも「誰もが認めるいい女」という形容自体もあまりにも臆面もなくて、これもあまり知性を感じさせる形容ではない。
それに悪いがこの藍はとてもそんな女性には見えないし。
この作者言う所の仕事のできる美人のいい女であるはずの藍の描き方がものすごく記号的・表面的であり、大きく説得力に欠けるというか。


そして仕事ができるいい女であるはずの藍の描き方についても、ここまで説得力に欠けているのも、まず作者自身が仕事ができる女ではないからではないのか?とも感じてしまう。
話の設定や展開に適当さが目立つ所もしばしば見られるし。
このように藍というヒロインやその描き方にもあまり魅力や説得力を感じられない上に姉弟の禁断の愛って、また同じ設定ですか?と思ってしまう。
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