このレビューはネタバレを含みます▼
王都の騎士団を退団し、国境を守る衛兵になったヒーローと故郷から逃げてきた羊飼いのヒロイン。ヒロインについてきた羊一匹。何もかも無くしたと思っていた2人が、お互いかけがえのない相手になっていく過程が丁寧に描かれている。田舎で何もなくても、2人と羊一匹が寄り添い合う暮らしは、とても暖かくて満たされているが、そんな日々にも終わりがやってくる。思い出だけを胸に身を引こうとするヒロインが切なくて涙。けれど、普段穏やかなヒーローが、思いの外ヒロインを深く愛していることが分かって、報われて良かったなとまた涙。まるで言葉が分かるかのように、2人に寄り添い続けた羊の存在感も良かった。