ラブ キス(2)
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ラブ キス(2)

一穂ミチ/yoco

ふたりの愛の形

ネタバレ
2020年12月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作家として当然なんでしょうけど心情描写が読み手に届く言葉になっていて上手いですね。実留を通して自分と向き合うことになってしまった苑の苛立ちや怖れがすごく伝わる。そして前作からの色んなエピソードも良い。神社で目撃したキス、ランタンの思い出、冷蔵庫のお金、果菜子ちゃんとのエピなど苑と明渡が過ごした時間の厚みがふたりをここまで連れてきたかと思うと静かな感動があります。10人いれば10の愛の形があって男女の愛ではなくBLとも括れない(性指向ではない)ふたりの形にたどり着いたんだと思う。苑はやっと苦しい子供時代を終わらせることができたよね。親は苑が出て行った時ホッとしたのかもしれないけれど、苑が子供だった頃には思い至らなかった周囲のまなざしに思い馳せたように父親も思う事があったんだろうな。色んなことを感じることができ、ゆさぶられ、読んで良かったです。
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