シーツの波間でみる夢みたいな
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シーツの波間でみる夢みたいな

キラト瑠香

さすがの一言

ネタバレ
2020年12月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ さすがは2020年TL部門電子コミック大賞受賞作品です。
試し読みで心奪われ即一括購入しました。アバンチュールなオムニバス作品です。
個人的には11~16話が特に心の琴線に触れました。11~13話は作品を紡ぎ出す作家の苦悩、14~16話はその作家が苦心して創出した『色紅』という作品の物語という構成も実に洒落ているなと思いました。『色紅』の中で重要な意味を持つアネモネの色別の花言葉を調べてみました。赤「君を愛す」ピンク「待望・待ち望む」青・紫「あなたを信じて待つ・信じて従う」ということを念頭に置いて読み返すと更に味わい深く楽しめました。要所でのカラーは印象に残るので効果的です。15話P21でピンクのアネモネ→16話P17で青(紫)のアネモネが主人公に舞い落ちる→P25で赤のアネモネへと主人公達の感情の推移が読み解けます。主人公の落としたイヤリングの色が実は赤色だったということもここでわかり、感動的なラストに繋がる伏線だったのだなと合点がいきました。よく練られていて、作品全体から漂う寂寥感も後を引く余韻となって痺れました。丁寧に描かれた絶美なる絵にも拍手喝采です。
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