王国へ続く道 奴隷剣士の成り上がり英雄譚
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王国へ続く道 奴隷剣士の成り上がり英雄譚

伊藤寿規/湯水快/日陰影次

21世紀版「コナン ザ バーバリアン」

2021年1月1日
暴力とエロが渦巻く欲望にストレートな世界観で、90年前アメリカで誕生した「キンメリアのコナン」をオマージュした漫画です。80年代後半の米国製ファンタジーブームを体験した年代(おおよそ40代後半以上)にとっては、懐かしくも正統性すら感じる、乾燥と血飛沫が臭ってくるスラッシュアンドハックな緊張感を味わえ、この感覚は昨今大変稀有で楽しいです。
ポリコレ絶対正義マンや、思考行動はどう見てもファッショな自称リベラリストが主導権を強奪しつつあるこの社会で、こんな暴力ファンタジー(褒めてます)を描く作者と、コレを出版する編集と、販売しちゃう角川は偉い!抗議に負けず頑張った、感動した。
絵柄はまだ上達の余地はいっぱいあるが、女性の裸体はちゃんとエロいし、馬の躍動感もまぁまぁ描けてるし(馬描くのは凄く難しい)、小物や建物もちゃんと考証して描いているのでオーケー。今後の飛躍を期待しております。
中世なのか近世なのか近代なのか、世界観を全く描き分け出来ない上に、現代の人権意識で善悪を判断する善良ぶった登場人物ばっかりが多い、21世紀の日本ファンタジーに食傷な人は一読してほしい。
追伸 3巻から出てくるセリアちゃんは作者の趣味ですね、僕も大好きです。おまわりさんコイツらです。
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