ロイヤル・シークレット
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ロイヤル・シークレット

ライラ・ペース/一瀬麻利/yoco

愛することと、生きること

2021年1月2日
その二つは他のどの人々にとって同じものであっても、「彼ら」にとってだけは違う…国王になる男と、その最愛の相手とは。読み始めた時はこんなジェットコースターのような物語だとは思いもしませんでした。情感のある場面はしっとり、けれど2人だけの場面では心の壁や駆け引きが閉塞感すら感じさせていました。しかし、2人が互いを認め合うようになってからは胸が苦しくなるような息もつかせぬ展開。ジェイムスと一緒にベンに期待して、一喜一憂しました。ベンと一緒に、どうにかこの苦しさを解決する方法はないかと自分のなかを覗き込みました。伝統、偏見、しがらみ、他意のない悪意、そして無数の目…英国のロイヤルファミリーのお話ですが、現代社会の縮図のようです。毎日悩む2人だからこそ、現実のように生々しく突き刺さりました。2人と一緒に社会に立ち向かったあとは、TVの向こうやSNSの向こうにも人間が「いる」のだと感情を持って感じられそうです。好評価を信じてあらすじを大して読まずに上巻だけ買い、読み終えてすぐさま下巻を購入。いつもあらすじで展開を確認しますが、見なくて正解でした。というか、思いつきもしなかった。早く2人に起こった出来事を知りたかった!下巻で3回泣きました。
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