リップスティック
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リップスティック

井上美珠/一夜人見

リアルな女性のドラマチック

2021年1月4日
塾講師のヒロインと初恋の兄であるヒーローの少し斜めな出会いから恋は始まります。ヒーローは、和菓子屋の若旦那から颯爽たる外資系のエリートへと大変身するわけですが、序盤に和菓子屋の若旦那である必要あったのかというくらい突飛な展開です。それに引き換え、ヒロインは自覚もあるようですが終始「優柔不断」です。しかし、初版は2011年、決して明快にアグレッシブな時代だったわけでもなく、女性はまだまだ恋愛もキャリアも手探りだったとして、時代を反映したリアルな女性なのかもしれません。迷いの中で、別れを選んだ二人と復活愛までがドラマチックに描かれます。めでたくハピエン後、結婚式の決め事や結婚生活で、ヒロインの優柔不断はますます増長し、包容力の固まりみたいなヒーローは、一昔前のアッシー君か尻拭い係に。やっと好きな人と結ばれたのだから少し成長しようよ、ヒロイン、と背中を叩きたくなりますが、これも10年前の女性のリアルな姿なのかもしれません。
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