葬送のフリーレン
」のレビュー

葬送のフリーレン

山田鐘人/アベツカサ

最高に切なくて愛しい冒険譚

2021年1月28日
マンガ大賞にノミネートされていたので、サンデーのアプリで読んだのですが、一気に引き込まれて虜に。

勇者一行の旅が終わってから、パーティにいたエルフを主人公に冒険を振り返る形は面白いですね。
多種族と比べて長命という、ファンタジーではよくあるエルフの設定をこういう風に使うんだと新鮮なのですが、ほぼ回想でしか出てこない勇者一行がとても魅力的で、回想がある度にこちらはどんどん好きになってしまうので、ひたすら切なくて辛い。
そして今一緒にいる人たちも、いずれ主人公は見送ることになるのかもしれないと思うとさらに辛い…。

客観的に見れば切なかったり重かったりする話も淡々と語られるのですが、行間の取り方や人物の心理描写が上手いので、感情移入してしまいます。

キャラクター造形と台詞回し、絵、話の構成、ファンタジー世界における無理のない設定作り、話のテンポ感が素晴らしい。
おかげでこの作品独特の透明で静かな世界観に無理なく没入することができる。
わたしはファンタジー大好きな人間で、物によっては設定に無理があったりして集中できなくなってしまうのですが、本作は作り込まれた正統派ファンタジーだと思います。

伏線がいたるところに張られているので、何回読み返しても新たな発見がありますね。
あと随所に挟まれるギャグもくすっと笑えていいです。

まだまだ終わってほしくないけど、どんな終わり方をするのかとても気になる作品です。
素晴らしい作品に出会えてよかった。
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