ベイカーベイカーパラドクス
」のレビュー

ベイカーベイカーパラドクス

暮田マキネ

描写が細かい

ネタバレ
2021年3月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ ノリちゃんは、兄が記憶を取り戻したことに気づいています。(「本読んじゃダメ?」という今までだったら言わなかったセリフや、「僕の好きなの(リンゴジュース」覚えててくれたんだ」という今までなら当たり前すぎて言うはずのないセリフから。)そして、山村くんも気付いてますね。(兄の食べ方が綺麗になったから。)
また、弟が兄の異変に気づくのも、そう遠くはないのかなと思いました。「臣おっきくなったね」→ちょっと入院して会わなかっただけでこのセリフは違和感がある。おそらく、昔の記憶の弟と比べて言っている。「俺も大好き」→今までの一人称は「僕」だったから、さすがに弟も気付くのではないか。
でも、兄はこれからも弟には記憶が戻ったことを言わないつもりです。(最後、一度ネクタイを完璧に結んだ後に、もう一度ほどいて弟に「ネクタイやってー」と言っているため。)

読めば読むほど新しいことに気付かされる、深読みができる作品でした。
変に説明ちっくじゃない描き方をされていて、とても面白かったです。

あと、ノリちゃんが病院から家まで車で送ったとき、兄に「がんばれ」と言った後の兄の大人びた笑顔には鳥肌が立ちました。
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