エロティック・サイコ(フルカラー)
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エロティック・サイコ(フルカラー)

KJK

2周してレビューを全文書き直しました。

ネタバレ
2021年3月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最終話まで読み放題で一気読みできない時にこちらの作品を見つけました。その時の私は猟奇的な設定に引き込まれるばかりで、伏線やこの作品の真実に気付けないままだった。最終話はどうなるんだろう?結末に胸を膨らませ、最終話を見た時言葉につまり数日引きずりました。私が読んでいたのはBLではなかったのか?どうして一度は想い合っていたはずなのに、復讐という体で殺してしまったのか?それとも神谷に被害者の深層心理を教えるために殺したのか?悶々とし続け、気持ちを落ち着けてから注視してこの作品を読み返しました。

私は大きな誤解をしていた。主人公が本当に想っていた相手は「悠」だったのだ。三角関係の痴情のもつれにより迎えた、悲劇。冒頭の「(孝史って)何考えてるか分かんないよね」という言葉の比較のように、20話で悠が「孝史と僕はお互いをよく知ってるんです」と言ったシーン。何を考えているか分からないと言われ続けた孝史の理解者だった悠。孝史は悠の優しさに惹かれ、悠にいろんな感情を貰ったのでしょう。別れて尚好きだったから、悠の命を守ろうと奔走し、新しい恋で悩む悠を友人という立場で慰めた。
そして、孝史の心情が今ひとつ分からなかったことこそ、彼という人物を表しているのですね。琉成に体を開くことを受け入れているように見えるのは、全て演技だった。
だから琉成は、孝史が本当に好きなのは悠だと知りながらも、結局は言いくるめられその鮮烈な感情を復讐のエッセンスとされてしまった。
ラストシーンで、水槽から飛び出すほど活き活きしていたはずのグッピーが動かなくなり、復讐を後悔していないと朗らかに言いながらも孝史は、本当に感情を失ってしまったんですね。。冒頭で死んだ猫を俯瞰し、猟奇的な事件に興味を惹かれた彼は、自分が殺人を犯すことによって抜け殻のようになってしまった。
本当に伏線や感情を繊細に描かれていて、毎話ラストを印象的にされていて、素晴らしい作品でした。なんて心を揺さぶる作品。記憶を消してもう一度読み直したいです。胸糞系バッドエンド作品は日本にはほとんどないので、日本のものが陳腐に見えてしまった方がこの作品に出会えますように。
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