女王の恋人
」のレビュー

女王の恋人

香月律葉/和才沙羽

一大叙情詩物語であり一人の女性の恋愛物語

ネタバレ
2021年4月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ ひとつの国の一大叙情詩であり、一人の女性の苦難に満ちた恋愛物語でもある。
王家の問題、国際的な問題、家族の問題、双子の弟の歪んだ憎悪と愛情と執着に苦しめられた半生と、ヒーローとの切なくも、愛情だけでは片付けられない、執着と憐哀に満ちた関係、一人の女性としても、王家に生まれた人間としても苦難に満ちたヒロインの半生。たぐいまれなる才能と努力により、国の礎を築いたヒロイン。陰謀と蔑みに足を引っ張られるも、統治の才能により、危機をいくつも乗り越えていく。そんなヒロインを女性としても、庇護するべき弱き対象としても、忠誠を誓う対象としても、愛していくヒーロー。ヒロインの執着に満ちた愛情を一身に受け止めていく。ヒロインの執着が感染するように、ヒロインを庇護しながらも、征服欲と独占欲にまみれていく。互いの罪を共有しながらも、罪によって、たぐいまれなる絆を築いていく二人。なんとも、スペクタクルで重く苦しい物語。
その後の幸せなエピソードが少し詳しく入っていれば、軽くなるけれど、らしいという記述のみのその後のヒロインたちの半生。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!