公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
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公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

藍里まめ

こんなにパーフェクトな腹黒ヒーローも

ネタバレ
2021年4月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ こんなにパーフェクトな腹黒ヒーローも珍しい。何をしても、ヒロインが勝てず、ヒーローの手のひらで踊らされる。別離でさえも、ヒーローの策略で寂しくなったヒロインが自ら戻ってくるように、わざと思い出させる品物を渡すのに、本人は姿を見せないという策士ぶり。自分の恋心さえもコントロールできる腹黒ぶり。半年も会わなくても、ピンピンしてて、健康的に過ごしているし、ヒロインの様子すら探らせてなくて、本当にヒロインが自らからの力で戻ってくるのをただ待つだけという余裕ぶり。
みんなが幸せになっていく中で、ヒロインが自分の居場所を失い、寂しくなり、さらに恋心を募らせることも計算済みという腹黒さ。
貴族の血筋とはいえ、庶民の暮らしと思考しかないし、元々悪女でもなければ、自分のために計算高くもないヒロインの策略なんて、ヒーローからすれば、手のひらのうち。ヒロインにあるのは、強い信念と弱いものを思いやる優しすぎる心で、思い通りにならないと、ヒーローはこぼすけど、それすらも手のひらのうちのことで、とことん嵌められていくヒロイン。色仕掛けするつもりが、心を盗まれたヒロイン。ただ、みんなのところに帰るまでの信念強さをもった心の強さはなかなかないタイプのヒロイン像。恋をするも、恋心に溺れることなく、求めたものを手にいれる強さ。そして、恋心を振り切り、最初からの決意を守った強さ。きっと、そんな強さにヒーローは惹かれたのだろう。ただの庶民の逞しさではなくて、生まれ持ったものがそこにあったのだろう。そして、野望に燃える若きヒーローは、きっと、ヒロインが戻ってこなくても、そこは心のうちに押し込め、他の女性を娶り、いつかは野望を叶えていくであろうと思わせる冷徹さを持っていると思う。人生で唯一の恋にも振り回されることがない不動の心を持っている。手に入れたいもののためには、命をかけるヒロインだからこそ、両思いになったのだろう。いつか王の欠かせない右腕となり、野望を叶えるヒーローと、意地悪なヒーローに手のひらで踊らされながらも、幸せに生きていくヒロインの姿が見えるよう。全てが駆け引きに満ちた物語で、恋愛すら駆け引きで企みに満ちている腹黒ヒーローでした。
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