オペラ座の恋人
」のレビュー

オペラ座の恋人

シヲニエッタ/篁ふみ

濃厚

ネタバレ
2021年4月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ オペラやクラシック、お酒がお好きな作者のようで、その博識ぶりに感心しながら読みました。こういう本をきっかけに新しい分野に興味を持つことができるようになれるのは、とてもありがたいことです!
お話は、濃厚。フィレンツェあたりの肉感的な裸体彫刻芸術に囲まれているような濃さ?親の愛情に飢えているヒロインだからこそ年上のおじさまにひかれたのだろうけど、こんなに執着気質で命令口調の男性はいくら超お金持ちでかっこよくてもちょっとこわい(笑)

唯一気になったのが、所々描写に違和感を抱いたこと。例えばスイスのくだりひとつにしても、本当に行ったことがあればラクレマンの対岸のエビアンより、まずその希少価値からしても地形的に目が行きやすいのもラボーのワイン畑のはず…ジュネーブからの高速も、日本よりずっとスピード違反に厳しいので簡単にぶっとばすかなあ、とか、作者さんはもしかして取材せずに想像で書いているのではないかと思えました。(後書きを読んで納得。)コロナ禍であちこち行けない状態になっているため、ちょっと懐かしさを抱きながら期待して読んでいただけに、その違和感だけが残念で(いっそ架空の地名を使った描写ならよかったと思いま)した。

読みながら頭のなかに音楽が流れ続け、最後は迫力のある大フィナーレを迎えることが出来る物語です。ハッピーエンドもよいです。
あれこれ書きましたが、やはりこれだけの知識をちりばめて盛り上がる物語を作れるこの作者さんはすごい方だと思います。続編があるようなので買います!
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